筋膜については近年、急激に関心が高まり、科学論文数もうなぎ上りに増え、世間一般でも普通に耳にするようになってきました。
日々、治療をさせていただく中でやはりとても大事な要素であることを実感しています。
筋肉にはほとんど感覚神経がなく、筋膜にたくさん感覚神経があるので、実は鍼のズーンといういわゆる「響き」は筋膜にあたった時に生じています。
筋膜に鍼が当たった時に響きが出ることや部分筋攣縮というビクン、という反応が出ることをエコーで確認しています。
結局、筋肉(コリ)由来の痛みを何とかしようとしているのは、
筋膜の興奮をどう抑えるか、あるいは過敏な状態から元に戻すかということに尽きるわけです。
筋肉は柔らかいのに筋膜は厚く硬いという場合もあります。外から触っただけだと筋肉は凝ってないので柔らかいので悪そうに思えませんが、鍼を刺してみて初めて分かります。筋肉の質は生まれつき良いのでコリは少ないが、激しいスポーツを長年やってこられた方などは度重なる筋・筋膜の炎症で膜の方が硬く厚くなってしまったりします。
もっとも最近では、話はもう一歩先に進んでいて、筋膜だけでなく、もっと広く皮下組織・浅筋膜、腱、靭帯、関節包…などの線維性結合組織 (これらを包括してファシア:fasciaと呼んでいます。まだ日本語で適語がありません。多分そのまま「ファシア」という語で定着するだろうと思っています。)がもの凄く大事だ、ということが分かってきました。
様々な、原因不明とされてきた疼痛が、ファシアという概念から捉えなおすことで原因の特定、症状の改善につながることが期待されます。