まずは「血流の改善」 ⇒ そして「痛み除去・不調の改善」
当院では一つの大きな目的を「血流改善」においています。
そして、それにより「痛み」の除去、「不調」を治すことをその先の目的として定めています。
筋肉は加齢に伴い、あるいは若くても使っているうちに硬くなっていきます。加齢や疲労の蓄積で「血行不良」を起こし酸素や栄養素が届きにくくなるとともに老廃物が蓄積していくからです。
初期のうちは張っている状態となりそれが進むと塊(=コリ)になってきます。
それが痛みを引き起こしたり、麻痺した体の動作を鈍くさせたり、関節の負担を増やし変形性関節症や関節痛、関節拘縮を引き起こしたりなど様々な不具合を引き起こします。
当院では、まずはこの血行不良を治す=血流の改善によって痛みをはじめとする様々な不調を治していこうと考えています。
「血流の改善」という点についてですが、
これを一つ目の大きな目的に置いているのは、血行不良が改善されているかどうかは硬くなった筋肉が柔らかくなってきたかどうかということなので誰もが触ってわかりますし、それ用の機器を使えば客観的に分かる(*1)ということと、筋肉の「こり」「張り」は生成・消滅が物理的法則に従う傾向が強いので実現までの道のりがある程度予測が付く、ということからです。(*2)
一方、痛みやその他の不調(自律神経失調症など)というのは、血流改善によって治ることも多い(=通常の慢性痛)ですが、「血行不良/血流改善」と「痛み・不調の治癒」との間にはたくさんの要素(*3)が入り込む余地があるため相当な隔たりがあるのが事実です。
血行不良の改善で症状が改善されない場合はさらに原因を探って解決する努力をしていきます。
一つの例
筋力低下や廃用症候群などで歩行が困難(=不調)であるという場合、すぐに思いつくのは「運動(リハビリ)しなきゃ」ということですが、ほとんどの場合、加齢その他で筋肉は張ったり硬くなっているので、しっかり血行不良を改善して使える状態にしてあげないと運動療法が効果が出ないばかりか痛みの原因になりかねません。
運動(リハビリ)の効果は、運動刺激→疲労回復(運動刺激で傷ついた筋肉などの修復)→能力向上の過程をたどります。血流が担保されていないと老廃物の除去、十分な酸素や栄養の供給が行われず疲労回復ができないため、かえって運動能力の低下を招きます。要するに頑張るほど弱くなっていくということです。
したがって、歩行困難という不具合を治すためにまず血流改善をするべきだという順序となります。
(*1)例えば、サーモグラフィやエコーのドップラ、(体温を運ぶのは血液なので)体温計測機器等、その気になれば客観的な測定ができます。
(*2) 経験的にこういう性質の刺激をこれくらいの量加えればよいだろう、など。
(*3)簡単に思い浮かぶだけでも、精神的ストレス、脳・脊髄の可塑性(*4)、生活環境、寒暖差などの気候・季節的な要因、性格、遺伝的要因、文化的要因などが挙げられます。
(*4) 慢性痛には、「急性痛と同じメカニズムで生じている痛み(これは「こり」の除去や姿勢の改善など、痛みの原因が解消されれば痛みがなくなります)」と、「これとは全く次元の異なる慢性痛」があります。後者については1990年代以降から研究がなされてきていて断片的に確実な事実が明らかになってきていますが、いまだ正確な仕組みは解明されておらず決定的な対処法が見つかっておりません。鎮痛剤もモルヒネも基本的に効果がないタイプの慢性痛です。
全体の仕組みが解明されればどちらも生理学的法則・物理学的法則に従っていることが分かるのかもしれませんが、現段階では、前者がニュートン力学に代表されるような古典物理学とするならば、後者は量子力学や超ひも理論のような確率的にしか決まらない(←痛み神経がどの相手と混線を起こしていくか、など)、とらえどころのない現象といった状態です。
肩こり・首こりによる痛み、腰痛、頭痛…などがこの厄介なタイプの慢性痛になっている場合は、コリが無くなる、あるいは姿勢や骨盤を矯正するなどということと、痛みが消えるということは全く関係がない状態になっています。つまり、この状態の痛みは糸の切れた凧のような状態になっていて、下で行う操作はもはや凧に直接の影響力を持っていない状態ですので、施術者はこの種の痛みがあるということを理解して対応する必要があります。